豆腐や納豆、味噌に醤油とさまざまな食品に加工される「大豆」と、鮮やかな緑色をしてほっくりとした甘みのある「枝豆」。
まるで関連性がないかのように思える2つの食材。実は同じ植物からできていることを知っていましたか。
こちらの記事では、何の違いから大豆と枝豆に分かれるのか、具体的にどのような違いがあるのか、詳しく説明していきます。
大豆と枝豆、どちらも健康をサポートしてくれる優秀な食品です。ぜひ積極的に摂取したいもの。おいしく食べられる簡単レシピなども紹介しますので、どうぞ最後までお読みください。
そもそも大豆と枝豆の関係とは?
大豆と枝豆は、実は同じ植物からできています。植物分類上は同じ「マメ科ダイズ属」。7~8月頃、未成熟の段階で収穫すると「枝豆」に、そのまま10月頃まで育て続け乾燥させると「大豆」になるのです。
収穫時期の違いで見た目も味も変わるというわけですね。
最も最近では、未成熟な段階で収穫するのではなく、もとから枝豆専用の品種を育てて枝豆を収穫することが多くなっています。
枝豆専用の品種は400種以上あるといわれていますよ。最も流通しているのは、白毛色と呼ばれる品種。枝豆は収穫後すぐに味が落ちてしまうため、産地近郊で消費される傾向があります。そのため、遠くまで出回らない地方品種もたくさんあることが特徴です。
大豆と枝豆では含まれる栄養素も変わり、大豆は「豆類」、枝豆は「野菜類」に分類されます。
食品を色別にグループ分けする三色食品群でみると、大豆は体を作る「赤色」、枝豆は体の調子を整える「緑色」に分類されます。
大豆が「畑の肉」といわれるほど優秀なたんぱく質源であることは有名ですよね。一方、枝豆はビールに合うおつまみとして有名。夏場に塩気の効いた枝豆を食べることは、熱中症予防や夏バテ防止にも効果があります。
大豆と枝豆の違いをあげてみます
では、ここから大豆と枝豆の違いについて、詳しく解説していきますね。違いは主に「収穫時期の違い」「栄養素の違い」の2つになります。
大豆と枝豆の収穫時期の違い
大豆は、5月から6月頃に種をまきます。枝豆として食べる場合は、大豆が完全に成熟する前の7月から8月にかけて収穫されます。花が終わりさやが膨らみはじめ、まだ青くやわらかいうちにさやごと収穫します。
これに対し、大豆は成熟してから10月頃に収穫されることが一般的です。葉が落ちてさやが茶色く色づき、揺するとカラカラと乾いた音がしてきたら収穫の目安です。
ちなみに、関連する食材として「大豆もやし」がありますよ。大豆もやしは、大豆が発芽した状態のもの。暗いところで育てると白い芽が出てきます。
ほか、関連する食材に黒豆もあります。黒豆も大豆の一種で、豆の色が黒いため「黒大豆」といわれます。黒大豆を未熟なうちに収穫すると、黒色の枝豆が収穫されますよ。丹波篠山地域で収穫される「黒枝豆」は生産量が少なく、高級食材としてブランド化されていますよね。
大豆と枝豆の栄養素の違い
大豆と枝豆の栄養素は共通する部分もあれば、大きく異なる部分もあります。
エネルギー | たんぱく質 | 鉄 | 葉酸 | 食物繊維 | カリウム | メチオニン | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
大豆(黄大豆・ゆで) | 163 | 14.8 | 2.2 | 41 | 8.5 | 530 | 210 |
えだまめ(ゆで) | 118 | 11.5 | 2.5 | 260 | 4.6 | 490 | 160 |
大豆は、枝豆に比べてカロリー、たんぱく質、食物繊維が豊富です。大豆は体を動かすエネルギー源になりながら、体を作ったり体を整える作用もあるということです。必須アミノ酸のバランスが優れた植物性たんぱく質であり、コレステロールを減らしたり、脂肪を燃焼させやすくする働きがあります。
大豆はイソフラボンも豊富。イソフラボンは大豆の成熟に伴い増えていくため、成熟前に収穫する枝豆とは差が生まれるのですね。イソフラボンは、女性ホルモンに似た働きをするといわれ、更年期障害の症状緩和や骨粗鬆症予防に役立つといわれています。
【大豆のおすすめの食べ方・簡単レシピ】
大豆を手軽に栄養豊富に食べたいときは、調理中に栄養が逃げにくい「煎り大豆」にして食べるのがおすすめです。煎り大豆は、節分の時期によく出回っていますね。家でも簡単に作れますよ。
- 乾燥大豆を一晩たっぷりの量の水につけておきます(急ぐ時は熱湯に浸すと時間が短縮できます)
- 水から大豆をひきあげ、ふきんやキッチンペーパーでしっかり水気を切ります
- フライパンで15〜20分程度、乾煎りします。油は不要。大豆が重ならないように気をつけながら、常に揺すって煎ってください。オーブンを使う場合は、160℃の設定で30分~50分程度焼き、様子を見てください
- 大豆が茶色く固くなり、香ばしい香りがしてきたら完成
そのままポリポリおやつにいだくこともできますし、白ご飯に混ぜてもおいしいですよ。
一方、枝豆はビタミンやミネラル類が豊富です。特に大豆に比べて鉄分や葉酸が豊富。鉄分は貧血予防、葉酸は赤血球生成や代謝の促進に不可欠なビタミンです。
葉酸は、胎児の正常な発育を促すはたらきがあります。特に妊娠の可能性のある女性や妊娠初期の女性に多く必要で、通常の成人男女の摂取推奨量240μg/日を大きく超える640μg/日の摂取が推奨されています。
カリウムやメチオニンは、大豆と同じくらい豊富です。カリウムにはナトリウムを排出する作用があるため、高血圧の予防やむくみの解消などに役立ちます。メチオニンとは肝臓の機能を司るアミノ酸で、肝臓でアルコールが分解されるときに欠かせない成分。ビールと枝豆という食べ方はぴったりだということですね。
また、枝豆は野菜と分類されていますが、野菜の中ではたんぱく質が豊富で、体の筋肉や血液などを作る手助けをします。
女性ホルモンと似た働きをすると言われているイソフラボンの含有量は、大豆に比べて少ないです。
【枝豆のおすすめの食ベ方・簡単レシピ】
枝豆のおいしい食べ方といえば、やはり「枝豆の塩ゆで」ではないでしょうか。枝豆は収穫直後から鮮度が落ちていくため、できるだけ新鮮な枝豆を手に入れましょう。
- 枝豆の先を5mmほど切り落とします(塩気を豆になじませるため)
- 枝豆を水で洗い、水気を切ります
- 枝豆に塩を入れてもみこみます
- 塩を加えたたっぷりの湯でゆでます(水の量に対して4%の塩が適量。1リットルの水に対して塩は40gです。およそ大さじ2杯の塩を入れるとよいでしょう)
- 4~5分ゆでて様子を見て、好みの堅さになればザルに引き上げ、水切りします
また、「枝豆のホイル包み焼き」もおすすめです。塩ゆでよりも栄養分が流出しにくく、ほっくりと甘い仕上がりになりますよ。
- 枝豆の先を5mmほど切り落とします(塩気を豆になじませるため)
- 枝豆を水で洗い、水気を切ります
- 枝豆に塩を入れてもみこみます
- アルミホイルに枝豆を重ならないように包みます
- フライパン、魚焼き器、オーブントースターのどれかで焼きます。フライパンを使うときは、蓋をして焼くこと。いずれの場合も10分程度を目安に焼き、様子を見てください
【まとめ】大豆と枝豆それぞれの特性を活かして食べよう!
大豆と枝豆の違いをまとめると次のようになります。
- 収穫時期が違う
-
枝豆は7~8月頃収穫し、大豆は10月頃収穫します。
- 栄養素が違う
-
枝豆は特に鉄分や葉酸が豊富で、大豆は特にカロリーやたんぱく質、食物繊維、イソフラボンが豊富。
大豆と枝豆、それぞれの特性を活かした食べ方をすることで、健康的な食生活を送ることができますね。貧血に悩む人や妊婦の方は特に枝豆を積極的に、体を鍛えたい人・健康を維持したい人は特に大豆を積極的に摂るとよいのではないでしょうか。
どちらも上手に食生活に取り入れていきましょう!