健康維持、ダイエット、環境保護、動物愛護、宗教上の理由など、様々な動機から代替肉として注目を集める大豆ミート。
大豆ミートは、多くの人々にとって新しい魅力的な選択肢ですよね。しかし、食卓に取り入れる際にはメリットだけでなくデメリットも理解しておくことが重要です。
この記事では、大豆ミートのデメリットについて詳しく解説します。大豆ミートのデメリットとそれに対応した食べ方の注意点を理解しておくことで、大豆ミートを安心してより効果的に食生活に取り入れられるようになりますよ。
そもそも大豆ミートとは?
大豆ミートとは、大豆から油分を抽出後、加熱・加圧し繊維状にした後に肉のような形にしたもの。「代替肉」、「大豆肉」、「ソイミート」、「ベジミート」、「第4の肉」と呼ばれることもあります。
大豆ミートは多くの人に利点をもたらし、ニーズに合わせた選択肢も豊富で、使い勝手のよい食品です。
大豆ミートの特徴とメリットは次のとおりです。
お肉のような食感を楽しめる
大豆ミートはお肉と似た食感に仕上がっており、お肉の代わりとして様々な料理に利用できます。
栄養価が高く健康効果がある
植物性たんぱく質、食物繊維、イソフラボンなどが豊富に含まれ、栄養面で優れています。
大豆のたんぱく質に含まれる必須アミノ酸の含有バランスは非常に優秀。良質なたんぱく質であることを示すアミノ酸スコアは最高レベルの「100」とされます。
ほかにも、食物繊維の働きにより腸内環境が整えられたり、イソフラボンの効果により骨粗鬆症予防や更年期障害の症状緩和などが期待できますよ。
低カロリー・低脂肪
大豆の油分を取り除いているため、高たんぱくでありながら低カロリー・低脂肪でヘルシーな食材です。
コレステロールフリー
ほとんどコレステロールを含まず、生活習慣病予防の効果が期待できます。
多様な食文化に対応する
ベジタリアン・ヴィーガン・動物愛護の思想を持つ人・宗教上の理由などでお肉を食べられない人でも食べられます。
環境に優しい
畜産に比べて大豆の栽培は環境負荷が少なく、地球温暖化の問題の解消に貢献します。
家畜動物を育て管理するためには多くの水資源や飼料等が必要とされ、環境負荷が大きいもの。また、家畜動物によるげっぷやおならはメタンガスや一酸化二窒素を発生させており、地球温暖化を加速させ、環境に悪い面があるといわれています。
大豆ミートの普及により家畜動物の数が減り、環境問題の改善につながる可能性がありますね。
長期保存が可能
乾燥タイプの大豆ミートの場合、1年程度の長期保存が可能で、非常用のストック食材として重宝します。
大豆ミートを形状ごとに分類すると次のとおり。
- ブロック・・・かたまり肉の形状。おすすめレシピは、唐揚げや酢豚など。
- フィレ・・・スライス状。おすすめレシピは、生姜焼きや回鍋肉(ホイコーロー)など。
- ミンチ・・・挽肉の形状。おすすめレシピは、そぼろやハンバーグ、ミートソースなど。
調理法のタイプごとに分類すると次のとおり。
- レトルトタイプ・・・そのままあるいは温めるだけで食べられます。手軽に食べたい方はこちら。
- 乾燥タイプ・・・湯戻し・水切りをした後に料理に使用します。しっかり料理に時間が割ける方はこちら。
- 冷凍タイプ・・・そのまま料理に利用できます。時短料理をしたい方はこちら。
大豆ミートのデメリットとは
大豆ミートは多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも理解しておくことが重要です。以下に大豆ミートの主なデメリットを詳しく解説します。
添加物が使用されている
大豆ミートの製造過程では、加工度に応じて添加物が使用されることがあります。食材としての大豆ミートには添加物は使用されていませんが、加工度が高いほど使用される添加物の量や種類も多くなります。
添加物は、味の安定や食感の改良、保存性の向上などを目的に使用されるもの。安全で美味しさを感じられる食品を作るために必要な量を考慮して使用されています。国(厚生労働省)においても、食品添加物の過剰摂取による健康被害が生じないよう、最大使用量を設定して安全性を確保しています。
しかしながら、添加物の体への影響は明確でなく、安全とは言いきれません。添加物は体に悪いとよく聞きますよね。
添加物の相乗毒性(複数の添加物を摂取することで体内で有害な影響が起きること)の危険性などもあり、避けたい人と考える人が多いのも事実です。
入手コストが高い
大豆ミートの製造には加工技術と手間が必要です。そのため、他の食材に比べて入手コストが高めです。
具体的には、2024年1月現在、大豆ミート関連商品の価格は、100グラムあたり150円程度以上が多く、合い挽きミンチや豚スライス肉とほぼ同程度もしくは若干高い価格設定となっています。
多くの人にとって価格の安さは購買意欲につながります。大豆ミートは価格の安さでは勝負できない点で、普及がとどまっている面があるでしょう。
下ごしらえが手間
大豆ミートを使用する際には、湯通しや水切りなどの下ごしらえが必要な場合があります。
これは通常の食材に比べて追加の工程が必要となり、料理の手間の増加につながります。時間がない方、例えば、共働き家庭の平日の夕食準備などでは、このひと手間は負担になりますよね。
遺伝子組換え大豆を使用していることが多い
大豆ミートには、遺伝子組換え大豆が使用されている可能性があります。
遺伝子組換え大豆には、生産性を向上させ作り手の労力を減らすというメリットがあります。しかし、遺伝子組換え食品が与える生態系への影響はまだ完全には明らかにされておらず、懸念もされています。
日本の大豆の自給率は7%と低くほとんどを輸入大豆に頼っていますが、輸入大豆の9割以上は遺伝子組換えであるとされており、危険視する声も多いのが現状です。
イソフラボンの過剰摂取リスクがある
イソフラボンの過剰摂取にはリスクがあるとされています。具体的には、ホルモンバランスの乱れや乳癌リスクの増加などの健康リスクが懸念されています。
イソフラボンとは、天然のポリフェノールの一種の化学物質であり、健康や美容に多くの利点をもたらすもの。適量のイソフラボンの摂取により、更年期症状の緩和や骨粗鬆症予防、美肌効果などの効果があるといわれています。しかし、過剰摂取には危険性があるということです。
大豆ミートの過剰摂取はイソフラボンの過剰摂取につながる恐れがあるため、気をつける必要があるでしょう。
味がよくない?
一部の消費者からは、大豆ミートは「味が淡泊である」「食感がもそもそする」「大豆特有の匂いがする」といった声が挙げられています。
このようなマイナスの味の評価は、一部の人にとって摂取に消極的になる理由にもなっています。
食べ方に注意!大豆ミートのデメリットを回避する方法
大豆ミートがもつデメリットにはそれぞれ対処法がありますよ。デメリットを回避し、健康的かつ美味しい大豆ミートの食べ方を紹介します。
添加物を避ける
添加物が気になる場合は、添加物不使用の商品を選びましょう。市場には添加物不使用の大豆ミート商品も多くあります。特にオンラインショップでは希望に合う商品を見つけやすいですよ。安全性を謳った大豆ミートが幅広く販売されています。
また、加工度が低い商品を選びましょう。大豆ミートに限らず、食品は加工度が高いほど添加物が多くなる傾向にあります。手軽に食べられるレトルト食品は、その利便性を実現するために添加物が使用されています。調理前の食材タイプの商品には添加物は基本的に入っていませんので、添加物が気になる方はできるだけ食材段階の商品を選びましょう。
コストパフォーマンスのよい買い方をする
大豆ミートのコストの高さが気になる場合は、大容量タイプを購入しましょう。コストパフォーマンスがよくなります。乾燥タイプの大豆ミートの賞味期限は約1年ありますので、日常的に使用する場合は十分に使い切れるでしょう。
また、今後の大豆ミートの流通量の増加や製造技術の進歩により、大豆ミートの価格下落が期待されています。
一方、畜産動物を育て管理するための飼料代や光熱費、輸送費が高騰し続ける昨今、食肉価格の上昇が予想されています。相対的に大豆ミートが安くなる日も来るかもしれませんね。
下ごしらえ不要のタイプを選ぶ
料理の手間を感じる人は、下ごしらえが不要のタイプを選びましょう。湯通しや水切りが不要なタイプの大豆ミートも市場にはたくさんあります。
特に、冷凍タイプのミンチ状の大豆ミートは、そのまま料理に使えて手間がかかりません。さらにレトルトタイプであれば、料理することなくそのまま食べられます。これらの食品を選ぶと手軽に摂取できますよね。
非遺伝子組換え大豆を選ぶ
遺伝子組換え大豆のリスクが気になる方は、表示を確認して購入しましょう。遺伝子組換えの表示は食品表示基準に定められており、表示義務があります。
2023年から遺伝子組換えに関する表示方法が一部改正されました。購入しても安心な表示は「遺伝子組換えでない」「非遺伝子組換え」の2つであると覚えておきましょう。
- 「遺伝子組換えでない」
- 「非遺伝子組換え」
- 「大豆(遺伝子組換え)」・・・遺伝子組換え大豆を使用している
- 「大豆(遺伝子組換え不分別)」・・・・遺伝子組換え大豆かどうかを区分していない、または、全体の5%以上に遺伝子組換え大豆が含まれる
- 「大豆(分別生産流通管理済み)」・・・全体の5%以下の大豆が遺伝子組換え大豆である
- 「大豆(遺伝子組換え混入防止管理済)」・・・全体の5%以下の大豆が遺伝子組換え大豆である
イソフラボン摂取推奨量を意識する
サプリメントなどでイソフラボンを過剰に摂取していない限り、過剰摂取による健康被害はさほど心配するものではないとされていますが、念のため過剰摂取は控えるよう心がけておきましょう。
厚生労働省で定められたイソフラボンの1日の摂取目安量の上限値は70~75mg。上限値を超えたからといってただちに健康被害に結びつくものではないとされています。
また、日本人の一日のイソフラボン摂取量は18mg程度(厚生労働省平成14年国民栄養調査)とされているため、さほど懸念する必要はないでしょう。
食べ方を工夫する
おいしく感じられるように食べ方を工夫しましょう。
淡泊な味は醤油や酒で下味をつけたり、スパイスや調味料を活用することで改良できますよ。
もそもそとした食感は、大豆ミートのサイズを小さくしたり薄くしたりすることで解消できます。他にも、小麦粉や片栗粉をまぶして料理することでも対処できます。
ほか、大豆特有の匂いは下処理の工夫で解決しますよ。湯通しや水切りの工程を複数回繰り返すことで匂いは軽減できます。
昨今の市場では、メーカー努力により大豆ミート商品の味わいの改良も見られています。口に合う商品を探してみてくださいね。
まとめ【大豆ミートのデメリットをふまえた食べ方をすればOK】
大豆ミートにはいくつかのデメリットはあるものの、それぞれに対処法もあることがわかりましたね。
- 添加物の問題・・・添加物不使用の商品を選ぶ、加工度が低い商品を選択する
- コストの問題・・・大容量で購入することでコストを抑える
- 手間の問題・・・下ごしらえ不要のタイプを選ぶ
- 遺伝子組換え大豆の問題・・・表示を確認して購入する
- イソフラボンの過剰摂取の問題・・・過剰摂取にならないよう心がける
- 味の問題・・・食べ方を工夫する
特性をふまえ食べ方に注意することで、大豆ミートは多くの人にとって価値を最大限に発揮できるのではないでしょうか。
多様な食文化やSDGSの観点からも、これからの社会に大豆ミートの活用は欠かせません。ぜひ健康的に取り入れていきましょう。