遺伝子組み換え大豆のデメリットとメリットとは?

大豆 遺伝子組み換え キャプション

「遺伝子組み換え大豆ってどんな大豆か知りたい」「遺伝子組み換え大豆のメリット・デメリットが知りたい」と考えている方は多いでしょう。

遺伝子組み換え大豆は、短期間で大豆に新しい特性をもたせられる点がメリットですが、人体や環境に与える影響が懸念されています。

この記事を読めば、遺伝子組み換え大豆の特徴や現状を知り、遺伝子組み換え大豆のメリットとデメリットについて理解できます。

遺伝子組み換え大豆の特徴や危険性について知ってから遺伝子組み換え大豆を使用するべきかどうか判断したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

そもそも遺伝子組み換え大豆って?

遺伝子組み換え大豆とは、遺伝子を組み換え、他の作物から抽出した遺伝子を大豆に加えることで、従来の大豆にはなかった新しい性質を持たせた大豆のことです。たとえば、病気に強い大豆や特定の栄養素が多い大豆、農薬に負けない大豆などの生産に利用されています。

従来の「品種改良」の手法では、様々な種類や特徴をもつ(収量が多い、病気に強いなど)大豆の種を交配させて、その性質が発現するまで交配を繰り返していました。

遺伝子組み換えの技術の発達によって、従来型の品種改良のプロセスを大幅に短縮できる一方で、健康被害や環境に与える影響が懸念されている側面もあるのです。

記事の後半部で遺伝子組み換えのメリット・デメリットについてご紹介します。

参考

厚生労働省|遺伝子組み換え食品の安全性について

ゲノム編集との違い

遺伝子組み換えと同列で語られる技術に「ゲノム編集」があります。ゲノム編集とは、高確率で狙った性質を獲得させられるような成長環境を提供し、品質改良を促す技術です。

遺伝子組み換えは直接的に遺伝子を組み換えるのに対して、ゲノム編集はあくまでも伝統的な育種法・品質改良の延長線上にあるものと捉えられることが多いです。

ただし、同じゲノム編集の技術でも育種法に近いものから、遺伝子組み換え技術に近いものまでやり方に幅があります。

そのため、ゲノム編集を遺伝子組み換えとはみなさないアメリカといった国から、ゲノム編集も遺伝子組み換えと同じとみなすEU諸国といった風に、その扱いには地域差が見られます。

遺伝子組み換え食品の現状

日本で安全性審査を経て流通が認められているのは合計で9農産物と33加工食品群です。

これらの遺伝子組み換え食品作物の例と特徴は、以下の表のとおりです。

作物特徴
大豆特定の除草剤で枯れないオレイン酸などの栄養素を多く含む
じゃがいもウイルス病・害虫に強い
とうもろこし害虫に強い特定の除草剤で枯れない
なたね特定の除草剤で枯れない

近年における大豆の自給率は6〜7%で推移しています。大豆の主要輸出国である中国やアメリカ・ブラジルなどでは、遺伝子組み換え大豆の割合が高い状況から考えると、輸入大豆の9割以上は遺伝子組み換え大豆だと推定されます。

このように遺伝子組み換え作物は、日本人にとって非常に身近なテーマだといえます。

参考

厚生労働省|遺伝子組み換え表示制度

バイテク情報普及会|日本での利用状況

遺伝子組み換え大豆のメリット

遺伝子組み換え大豆 メリット

遺伝子組み換え大豆のメリットは、品種改良のスピードが早いという点や大豆の生産効率を上げられる点です。

遺伝子組み換え技術は、何世代にもわたって交配を繰り返すプロセスを必要としないので、品種改良のスピードが格段にアップします。

大豆の遺伝子組み換えを行った結果、収量が増える品種や病気・害虫に強い品種などを開発できるので、生産効率が大幅に向上することが期待されます。また、農業の低コスト化や省力にも役立つでしょう。

参考

消費者庁|遺伝子組み換え食品

遺伝子組み換え大豆のデメリット

遺伝子組み換え大豆 デメリット

遺伝子組み換え大豆のデメリットは、安全性が確立されていない点や環境への影響が懸念されている点です。

遺伝子組み換え大豆を長期間摂取した場合や次世代に与える影響は明らかになっておらず、組み換え遺伝子から合成されるタンパク質の作用について注視する必要があります。

また、遺伝子組み換え大豆が野生の食物と交配することで、あらゆる病気や害虫に対して耐性をもつ”スーパー雑草”が誕生した例があるなど、環境に与える影響も未知数です。

健康や環境に与える影響が未知数という理由で、遺伝子組み換え作物の生産や流通が制限されている国も多く、今後の研究で安全性を証明できるかどうかがこれからの状況を左右するといえます。

遺伝子組み換え大豆の特徴を知って、商品選びに活かそう!

遺伝子組み換え大豆 まとめ

この記事では、遺伝子組み換え大豆の特徴やメリット、デメリットを紹介しました。

遺伝子組み換え大豆は、遺伝子の組み換えによって、希望する特性を大豆にもたせる技術です。一般的な品種改良よりも時間が短く、効率的に品種改良できます。  

品種改良のスピードが上がることで、より低コストで育てやすく、収量の多い品種を開発できるので、貧困や飢餓に苦しんでいる人々を助けられる可能性も高まるでしょう。      

ただし、遺伝子組み換えは長期にわたって摂取するとどのような影響が見られるのか、環境に与える影響はどの程度のものなのかが、依然として不明瞭な技術でもあります。

購入する大豆や大豆製品に遺伝子組み換え大豆が含まれているかどうかを確認しながら、遺伝子組み換え大豆の安全性や環境に与える影響についてのエビデンスを今後ともチェックしていきましょう。

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