大豆油の原料や特徴|健康にはどうなの?

大豆油にはどのような特徴があるのかな、健康にいいのかな、などと気になったことはありませんか。

こちらの記事では、はじめに大豆油の特徴を紹介します。さらに後半で、大豆油の良いといわれている点と懸念されている点を3点ずつ紹介していきますね。

ぜひお読みいただき、大豆油を正しく理解してこれからの生活に取り入れていってくださいね!

目次

大豆油とは?原料や特徴

大豆油について

まず、大豆油がどういったものなのかを確認していきましょう。

大豆油の原料と精製方法

大豆油は、大豆の種子に含まれる油分を取り出して精製した油です。

油の精製方法には、圧搾法と溶剤抽出法というふたつの方法があります。

圧搾法

大豆に圧力と熱をかけて油を搾り取る方法

溶剤抽出法

溶剤を使って油を溶かし取る方法

大豆は油分が少ないため、原則、圧搾法には向かず、溶剤抽出法によって精製されることが多いです。

大豆油の消費量と用途

大豆油は代表的な植物油で、世界ではパーム油に次いで2番目に消費されています。日本でも、大豆油はキャノーラ油、パーム油に続いて3番目の消費量です。

大豆油は、比較的安価でくせや匂いが強くないため、どのような料理にも使いやすいという特徴があります。耐熱性があるため、揚げ物にも向いています。酸化しやすいという欠点があるため、取扱いや保存方法には注意しましょう。

とはいえ、大豆油といわれても、あまり馴染みがない、聞き慣れない方も多いのではないでしょうか?

それは、大豆油が「大豆油」という名前で流通することが少ないためでしょう。大豆油は、なたね油やコーン油などほかの油と調合してサラダ油として流通していることが多いのです。

また、大豆油は、いろいろな商品に形を変えて使われています。サラダ油のほか、マヨネーズやマーガリンの原料として広く用いられています私たちが知らない間に摂取している身近な油なのですね。

大豆油の栄養素

大豆油の栄養素は100%が脂質です。特に不飽和脂肪酸が大半で、不飽和脂肪酸の量は100gあたり約78gにあたります。

不飽和脂肪酸とは植物や魚の油に多く含まれている脂肪酸で、血圧やコレステロールを下げる効果がある嬉しい成分です。

大豆油は、不飽和脂肪酸の中でも、特にリノール酸、オレイン酸、α-リノレン酸が豊富です。

リノール酸オレイン酸α-リノレン酸
53.0%23.8%7.4%
大豆の脂肪酸組成(%)油脂検査協会2019

ほかに、ビタミンEビタミンKも豊富に含まれているのが特徴です。

栄養素とその健康効果については、次に詳しく説明しますね。

参考
一般社団法人 日本植物油協会|植物油の道
文部科学省|食品成分データベース2023
e-ヘルスネット(厚生労働省)|不飽和脂肪酸

大豆油って健康にはどうなの?

大豆油のメリットとデメリット

大豆油の摂取は、健康にどのような影響があるのでしょうか。

大豆油が良いといわれている点と懸念されている点を、それぞれ3つずつ紹介します。

大豆油が良いといわれている点

不飽和脂肪酸が豊富

不飽和脂肪酸は、LDL(悪玉)コレステロールを減少させ、HDL(善玉)コレステロールを増加させてくれます。心疾患予防に効果があるといわれています。

不飽和脂肪酸は、植物や魚の油に多く、人間の体内では作ることができない「必須脂肪酸」を含むことも特徴です。不飽和脂肪酸は、人の成長や健康維持のため重要な役割を果たしているのですね。

不飽和脂肪酸の中でも大豆油に多く含まれているものとその効果・効力を紹介します。

リノール酸

大豆油の中でも特に多く含まれていて、特筆すべきものがリノール酸。

さまざまな油に含まれるリノール酸の量(100gあたり)は次のとおりです。大豆油にリノール酸が多く含まれていることがわかりますよね。

  • 大豆油 50.0g
  • ごま油 41.0g
  • こめ油 32.0g
  • なたね油 19.0g
  • オリーブ油 6.6g

出典:文部科学省|食品成分データベース2023

リノール酸は、体内で生成されない必須脂肪酸で、LDL(悪玉)コレステロールを減らし、心疾患予防に効果があります。

ただし、リノール酸を過剰摂取すると免疫細胞が働きにくくなり、アレルギーやアトピーなどにつながるといわれています。適切な量の摂取を心がけましょう。

オレイン酸

オレイン酸は、不飽和脂肪酸の中の一価不飽和脂肪酸にあたり、LDL(悪玉)コレステロールを減らす働きがあるとされています。

α-リノレン酸

α-リノレン酸は、オメガ3系脂肪酸。体内で生成されない必須脂肪酸です。

血中中性脂肪を減らし、高血圧や動脈硬化の予防効果があるとされています。

ビタミンEが豊富

大豆油はビタミンEも豊富です。ビタミンEは、抗酸化作用を持ち、細胞を酸化から保護してくれます。それにより、動脈硬化血栓の予防につながります。細胞老化や慢性疾患のリスクも低減されます。

日本人はビタミンEの約20~30%を植物油から摂取しているとのことですから、植物油の摂取も大切ですね。特に大豆油はビタミンEが豊富ということで、積極的に摂取したい油になりますね。

ビタミンKが豊富

大豆油は、ビタミンKも豊富です。ビタミンKとは、骨のカルシウムの量を保つ栄養素。骨粗鬆症予防に役立ちます

大豆油が懸念されている点

トランス脂肪酸が含まれている?

トランス脂肪酸とは脂質の構成成分である脂肪酸の一種で、次のようなリスクを抱えているといわれています。

  • LDL(悪玉)コレステロールを増加させる
  • 心血管疾患の発症リスクを増加させる
  • 体内の炎症を促進させる
  • アレルギーやアトピーの原因になる恐れがある
  • 過剰な摂取は、肥満や糖尿病につながる

とはいうものの、大豆油にはそもそもはトランス脂肪酸は少量しか含まれていません

ただし、製造工程の中でトランス脂肪酸が生成されます。高温にさらされて栄養素がトランス脂肪酸に変わるといわれています。

高温処理の工程がある溶剤抽出法で抽出されるとトランス脂肪酸が生成されてしまうので、低温圧搾法で抽出された大豆油を選ぶと安心ですね。低温圧搾法で作られた「トランス脂肪酸ゼロ」の大豆油も販売されていますよ。

大豆油だけでなく、他の油でも高温処理された油は同じリスクがあります。大豆油にだけ過剰な心配をする必要はないということですね。

そもそも、日本人の平均的なトランス脂肪酸摂取量は平均総エネルギー摂取量の0,3%で、WHOの基準である1%を大きく下回っています。通常の食生活をしている限りは、過度な心配をすることはないといえるでしょう。

参考
農林水産省|すぐにわかるトランス脂肪酸
J-オイルミルズ|植物油ができるまで

遺伝子組み換え大豆を使っている?

大豆の自給率は6%であり、ほとんどを海外からの輸入に頼っています。そして、日本が輸入する食品の9割は遺伝子組み換え食品ともいわれています。

遺伝子組み換え食品が大丈夫なのか、漠然とした不安を抱える方も多いのではないでしょうか。遺伝子組み換え食品のリスクとして、具体的には次のような点が懸念されています。

  • 統計的・疾学的にまだ安全性が確立されていない
  • 生態系への影響が懸念される
  • 新たな食物アレルギーのリスクが考えられる

日本では、遺伝子組み換え食品は、安全性の審査を通過したものだけが市場に出回っています。また、流通している遺伝子組み換え食品には表示が義務づけられています。

商品ラベルや情報を確認して購入することで、安全な大豆油を手にできますね。

参考
農林水産省|世界で遺伝子組換え農作物はどのぐらい生産されていますか。日本に輸入されているのですか。
厚生労働省|遺伝子組み換え食品ホームページ

大豆アレルギーを発症するリスクがある?

大豆油で大豆アレルギーを発症することを心配している方もいるでしょう。

しかし、大豆から大豆油を精製するときにアレルゲンとなる大豆タンパク質は、事実上無視していいレベルにまでなくなるといわれています。

大豆油による大豆アレルギーの発症は、心配する必要はないといってもいいでしょう

そもそも、大豆自体が卵や牛乳、小麦粉に比べてアレルギーの原因食物となる割合は少ないです。

アレルギー原因食物アレルギー発症割合
33.4%
牛乳18.6%
小麦粉8.8%
大豆1.3%
消費者庁|令和3年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書

アレルギーについては、ほとんどの人にとって懸念する必要はないことだといえるでしょう。

参考
一般社団法人 日本植物油協会|「あぶら」よ、訴えなさい。

まとめ

大豆油のポイント

いかがでしたか。これまでの内容をまとめると、

  • 大豆油は、世界中でよく生産・消費されている油
  • サラダ油マヨネーズマーガリンなどさまざまなものに姿を変えて使われている
  • 大豆油は、不飽和脂肪酸、ビタミンE、ビタミンKが豊富
    心疾患予防や抗酸化作用、骨粗鬆症予防の効果が期待できる
  • 大豆油は、高温による製造行程で体に有害となるトランス脂肪酸が作られる
    低温圧搾法で製造された大豆油を選ぶと安心
  • 大豆油は、遺伝子組み換え食品が使われている可能性がある
    →表示を確認して遺伝子組み換え不使用の大豆油を選ぶと安心
  • 大豆油で大豆アレルギーを発症する心配はほぼない

ということがわかりましたね。

大豆油が体に悪いということはありません。精製方法や原材料を選んで使用すると、健康効果が期待できる食品です。

大豆油はくせが強くなくさまざまな料理に使いやすいため、日常に取り入れやすい油。安心できる大豆油を手に入れて、積極的に使っていきたいですね。

もちろん、油のため、過剰摂取は控える必要があります。大豆油にかかわらず、油には脂肪酸が多く、過剰摂取は肥満やメタボ、さまざまな病気を引き起こす原因になってしまいます。

とはいえ、脂肪酸自体は体のエネルギーになるなど必要なもの。特に、高齢者など多くの食事量を摂れない人にとって、エレルギーの高い大豆油の摂取は栄養改善に役立ちます

ぜひ大豆油の適量の摂取を心がけていきましょう!

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